編集者の仕事。10年続けられたやりがいや面白さとは?

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ドラマ「重版出来」より、いおきべさん。

 

私、編集の仕事をはじめてかれこれ10年以上経ちました。

ありがたいことに、いろいろなことを経験してきて、編集業っておもしろい!という思いをもっています。

そこで今回は、自己紹介を兼ねて編集者という仕事の面白さ、やりがいについて書いてみようと思います。

編集業を続けてこられた5つの魅力

①娯楽が仕事に直結する。

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編集者は、広く浅く知識を蓄えておくと仕事に役立ちます。

そのため、日々経験するあれやこれのすべてが芸の肥やしになります。たとえばテレビを観ること。ゲームをプレイすること。映画を観にいくこと。本を読むこと。こういうことは、企画の血となり肉となっていきます。トレンドの感覚を養うためにも不可欠です。読者がいま何を楽しみにしているかを知り、実際に触れてみることは無駄になりません。レムかわいいよ、レム。仕事に直結することなのに、娯楽性があるというのは編集者の役得のひとつです。

②才能の発掘は宝さがし。

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編集者は宝さがしをする仕事です。

子供の頃、夢中で楽しんだ遊びのひとつに、宝さがしというものがありました。何人かで集まって、手のひらにおさまるサイズのものを親となる友達がどこかに隠し、残りの子となる友達がそれを探しだすというあれです。あの時の興奮やワクワクした感覚が、編集という仕事を通して味わうことができます。

具体的には、作家さんやイラストレーターさんの発掘。稀有な才能にめぐりあえた時の快感は、なかなか他では得難い気持ちだと思います。いままで自分が知らなかっただけで、この世にはまだこれほどまでの才能が埋まっていたのか!未知の克服は、一度経験するとクセになります。

③労働時間がけっこう自由。

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のんびり、野良猫みたいな働き方ができるのも編集者ならでは。

これは職場の方針や、編集者個人の働き方によって違いが大きいですが、編集者は比較的時間を自由に使えます。取引するクリエイターの活動時間によっても影響をうけ、日中に健康的な打ち合わせをする編集者もいれば、夕方まで寝ているかわりに徹夜で作家の作業にお供する編集者もいます。

また、一ヶ月のなかで特別忙しい時期と、それほど忙しくない時期というのが波のようにやってくるのも特徴です。修羅場をぬけたあとは、ぽっかりと作業量ゼロになる瞬間もあります。

印刷所への入稿をすませるなど、抱えている案件が手離れした直後は「待つ」ことが仕事になります。そういう時間に何をして過ごすかは編集者の裁量次第という側面も。

さらに言えば、編集者それぞれの時間の流れがまちまちであることは、職場全体のコンセンサスになりますので、休憩時間をいつとるのかは個人の判断にまかせられます。ランチタイムのピーク時を避けて、ラストオーダー近くにふらっと食べにいくこともできますし、みんながあくせく働く午後の時間帯に、軽い息抜きと称して近所にポケモンを捕獲にいったとしても黙認されます。

④原稿がいち早く読める。

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ワンピースの担当編集は、『ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)』がなにか知らされている、的な。

これは編集者なら誰でも口をそろえて言うことですね。人気作の最新話を最速のタイミングで読むことができます。評判も高く、売上もともなっている作品の面白いところを、誰よりも早く味わえる。編集者ならではの特権です。最新刊どころか、先々の構想までクリエイターと共有していることもありますので、早く知っているということに関して言えば特別な立場にいます。

また、このいち早く原稿が読めるということの真髄は、当初の打ち合わせで把握していた展開を超えて、クリエイターがさらにすごいものを作り上げてきたときにこそ感じるものです。期待を超える面白さ。予想を裏切る展開。そういう良い意味での意外性に、作品の外で直面することがあります。出版されて世に出るときには、もう「変更後」なので、読者はそういう変化があったことを知りようがありません。この驚きを体験できるのは編集者だけです。

⑤重版出来。

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大好きな言葉、重版出来。

これは漫画とドラマですごく有名な単語になりましたね。じゅうはんしゅったい、と読みます。作った本がよく売れて、はじめに印刷した分では足りなくなった時に、追加で印刷することをこう呼ぶのです。そしてこれが、編集者の醍醐味であり、生きがいです。企画がうまく図に当たり、ヒット作となれば担当編集として大変うれしいものです。しかも素晴らしいことに、うれしいのは自分だけではありません。クリエイターはもちろん喜んでくれます。たくさん売れたということは、たくさんの読者が面白がってくれた証拠でもあって、その人の数だけうれしさが広がっていったんだろうとも思います。

なかなか狙ったとおりに重版がかかることはないものの、全ての編集者は自分の担当作が売れてほしいと願っています。(もちろん、同僚の本も!) 一度でも重版を経験した編集者は、なんとかしてまた当ててやろう!と次の重版を目指します。やる気もアップします。仕事の精度も3割増し。それくらい、重版出来は編集者にとっての麻薬めいたものなのです。これがあるからやめられない。

ドラマ毎週観てました。ムロツヨシさん演じる売れない漫画家になぜかすごく感情移入しちゃって、毎話ごとに胃が痛かったです(笑)

編集者は人生いつでも編集業

編集者のきれいな部分はだいたいこれで伝わったのではないでしょうか。編集者はこういうことをしています。

トレンド感覚を養うために日常を仕事に取り込み、まだ見ぬ面白さを求めて人生そのもので宝さがしをする。

いいことばかり書きましたけど、嘘はついていないつもりです。

もしもうちょっと詳しく編集者の仕事ぶりについて調べてみたい方は、

新人編集者の奮闘ぶりも楽しい骨太なお仕事漫画、重版出来を読んでみると詳しくなれるかもしれません。ラノベ編集部ではありませんが、雰囲気はよく伝わると思います。おすすめです。

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