ライトノベル編集者がライトノベルを低く見ている問題

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思うところがあったので久しぶりに書きます。

ライトノベル編集者は、ライトノベルというものを低く見過ぎなんじゃないか、という話です。小説全体の中でライトノベル以外のものとライトノベルとを比べた時、ライトノベルが特に「低俗である」みたいな。そういう話はちらほら聞きます。ライトノベルってつまらない。ださい。ラノベ(笑)。揶揄の対象。嘲笑されるべき安い文。しょっちゅう目にするし、いちいち気にしていたら身がもたないくらいどこでも言われていることです。でも、それは読者が言うこと。批判や中傷も感想の一部に違いなく、それ自体はありがたいとさえ言えます。むかつくけど。むかつきはするけど、ありがたい。

ところが、読者じゃないところからも聞こえてくることがある。そういう時、首をかしげたくなる。どこから聞こえてくるか。それは、編集者から。商品として作り、世に送り出し、その行く末に責任をもつべき立場にいる編集者が、自分の手がけているライトノベルを「つまらないもの」と思い込んでいる。それって、卑屈だし、不健全なんじゃないか。同僚にもそういう人はいるし、同業他社にもいる。ついでにいうと、自分の中にもそう思ってしまう気持ちがあることを否定しきれない。ライトノベルは幼稚で、とるにたらなくて、目がすべる悪文ばかり、リビドーまるだしの下品なジャンルで、生まれながらのオワコンだ。でも本当にそうなのか。そうなのかもしれない。大部分はその言葉にあてはまるのかもしれない。否定しきれない。

というか、ともすると作者さえ「どうせ俺が書いているのはライトノベル(笑)だから」と自重ぎみに自作を悪く言うことさえある。それは大体の場合、照れ隠しなわけですが、照れ隠しだけじゃないこともある。文学コンプレックスというか、一般文芸を高く崇め、ライトノベルを低くとらえる考え方。編集者、作者、どちらにも現れるこの呪いのようなひねくれた自意識。作者の場合は、そういうちょっと歪んだ自意識がかえって創作の力になることもあるから一概に悪いとはいえません。

でも編集者は別です。ライトノベル編集者がライトノベルを悪く言う。これは問題だと思うんです。要は、プライドを失っている。実際、高尚な文章、洗練された文章に価値を認める多くの読者からすれば、ライトノベルの文章に同じだけの価値を認めることはむずかしいかもしれない。この世にあるすべてのライトノベルがお上手に作られているかといえば、絶対にそんなことはない。批判や揶揄は的外れではないし、つまらないものはたしかにある。

でも、だからと言って、編集者がライトノベルというジャンル全体をこき下ろしていいことにはならない。敵を気取ってどうするというのでしょう?職業としてその仕事を選び、従事する以上、せめてその商品の味方であるべきではないでしょうか。ライトノベルを愛するかどうかはまた別の話。ライトノベルを崇拝するかどうかも、全然違う話。文学性を肯定して誇りをもて、とかそういう話でもない。せめて敵になるな。味方でいてくれ。愛さなくても、崇拝もしなくていい、過剰に持ち上げる必要はないから、身内なのにライトノベルをバカにするのだけはやめよう。

長々といろいろ書きましたが、要するに何が言いたいかというと「ライトノベルはクソ」なんて恥ずかしげもなく言っちゃう厚顔無恥なライトノベル編集者がもしいたら、そんな奴は信用がおけないし、仕事もなくなっていくだろう。だからそういう態度はさっさとやめて自信を持とうね、ライトノベル編集者だからって卑屈になんかなるなよ。という話でした。自戒をこめて。

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