誰でも最後まで書ける「勝手ノベライズ法」とは?

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いざ小説を書き始めてみたものの、どうしても最後まで書ききれない。

そういう悩みに直面する人はとても多いと思います。しかし、文章上達のたった一つの王道は、どんなに下手でも一度でいいから最後まで書ききることです。どれほど設定に凝っても、稀代のスーパーアイデアがひらめいても、始まりから終わりまで自分の手で書き終えないことにはいつまで経っても初心者のままなのです。

では、投稿用の長編を書く前に、短くてもいいから作品を完結させる経験を積む、というのはいかがでしょう。それなら、なんとかなりそうな気がしませんか?話の始まりから終わりまで、どうにかして書きあげてみる。その練習として、短い話の完成を目指しましょう。

ここでご紹介するのは根性論ではありません。シンプルで、とても具体的なやり方なのです。名づけて、「勝手ノベライズ法」。それは、こんな方法です。

半分だけプロの力を借りる

どうすれば短いストーリーを最後まで書ききることができるのでしょうか?

書けなくて困っている人は、全体を短くしても書ききれないと思うかもしれません。自分だけで一から十までぜんぶ考えようとするのにまだ無理があるなら、半分だけプロの力を借りるのがおすすめです。

漫画を文章で書き起こす

好きな短編漫画を1つ選んで、それを自分の言葉で小説に書き起こす。名付けて「勝手ノベライズ法」といいます。

8~32p程度できれいにオチがついている短編漫画ならなんでもいいです。ライトノベルらしくなくてもかまいません。自分が好きな短編漫画を1つ選んで、それを自分なりの言葉で好きに小説にしてみましょう。

何を書けばいいかはっきりしているから書きやすい

ポイントは、思考の負担を軽減することです。

小説を最後まで書ききれないのは、突き詰めると「何を書けばいいのか分からなくなる」から。そこで、短編漫画が強い味方になってくれます。始まりから終わりまですでにはっきり決まっている短編漫画は、何を書けばいいかが分かっている分だけ思考の負担が減り、書きやすく感じるはずです。

セリフもそのまま書き写せばいいので、すらすら書けます。

「どう書くか」であなたの個性が試される

勝手ノベライズ法に取り組むと、自然とある疑問に向き合うことになるでしょう。

こんなの、誰が書いても同じになるんじゃないの?

ところが、それは誤解です。

勝手ノベライズ法は、作家の個性がくっきりと目立ってしまう練習法です。おなじ短編漫画を元にしても、あなたと、あなた以外の作家志望者とでは驚くほど別の作品ができあがることでしょう。どちらのほうが、どう優れているか。あるいは劣っているか。一目瞭然なこともあれば、読み手によって違う受け取り方をすることもあるでしょう。

あるいはプロ作家が同じ短編漫画から勝手ノベライズをしたなら、その出来栄えに驚くことになるでしょう。なるほどそういう切り口があったか!という自由な発想でアレンジしたり、もとの漫画には描いていないセリフが付け足されていることで格段に面白くなっていたり、作家性の表れ方を痛感する事例は多いはずです。

同じ原作を元にしながら、まったく異なる解釈でノベライズしあうということも起こりえます。読解のアプローチが違ったり、わざとひねくれて解釈したり、いずれにしても勝手ノベライズ法に制限はなく、あなたなりの文章で最後まで書きあげるという条件さえ満たせば、どう書こうと自由です。

勝手ノベライズの注意点

一方、初心者でも「これなら自分にも出来そうだな」と、カジュアルに取り組めて、始まりから終わりまで書きあげる訓練にもなる勝手ノベライズ法には、気を付けておきたい注意点もあります。

それは、視点の混乱です。

これは中級者以上の方に改めて説明すべき内容なのですが、小説の大切な約束事の1つに「視点」という考え方があります。この勝手ノベライズ法は、コマ割りの通りに素直に小説にしていくと、なんとなく読みづらいというか、違和感が発生してくることに気が付くはずです。それが、視点が混乱をきたしている状態です。

この違和感に自然に気がつき、どうすれば読みやすい文章になるか?ということを自ら問いかけることができるようになると、勝手ノベライズ法を通した文章上達の成果があがっている証拠です。

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