ライトノベルを作るのは作家だけではありません。
イラストレーターこそ、ライトノベル業界のもう一人の主役です。
若手からベテランまでいろいろなイラストレーターが活躍されています。
海外在住のイラストレーターが日本のライトノベルに挿絵を描くのも今では驚くようなことではなくなりました。
老若男女問わず、国籍も問わず、イラストを描くという能力さえあれば誰にでもチャンスがあります。
上手くいけばコミック、アニメ化の夢もみられる「ライトノベルの挿絵」。
イラストレーターの中でも人気のお仕事だと思います。
そこで今回は、ライトノベルの仕事がしてみたいイラストレーターにむけて
現役編集者の視点から役に立ちそうな本をご紹介します。
イラストレーターにおすすめの本
①はじめてでもわかる! イラストでお金を生み出す秘訣
1冊目からすべての答えみたいな最高の本です。
編集者の目から見ても非常に有用で実践的なことが書かれていると感心します。
イラストでお金を生むということの基本的な心構えがQ&A形式で学べるので分かりやすいです。
また、この本がユニークで素晴らしいところは
各章のおわりに「編集部から」という編集者視点の補足があるところです。
これがめちゃめちゃ赤裸々なことが書いてあって、なるほどKADOKAWAの編集部では
イラストレーターに対してこのようなことを考えているのか、というのが分かります。
編集者がイラストレーターを選ぶ時にどこを見ているか?
イラスト以外に収入の柱をもっておくことの是非は?(専業か兼業か、どっちがいい?)
そうした発注する側のリアルな意見にふれられるのでイラストの仕事に役立つはずです。
②絵がふつうに上手くなる本
この本はイラスト技法書として現時点でトップクラスの実用性だと思います。
ものを観察することと、それをイラストに活かす技術について噛み砕いて書いてあるため、
ふだんから絵を描いている人にとっても発見が多くあることでしょう。
イラスト制作における資料との向き合い方についても実践的でためになることが書いてあります。
また、商業イラストレーターとしての要訣は「共感」にあると、というのも金言です。
イラストで食べていくことを本気で考えたら、一読して損はありません。
③Q&Aでわかる! イラストレーターのビジネス知識
プロのイラストレーターとして仕事をしていく。
その決意を知識面から支える、ビジネスハウツー本です。
どうやって案件を獲得するか? 納品する時の注意点とはなにか?
著作権など、権利についての知識も身につきます。
困ったときに開くお守りのような本として、1冊手元に置いておくと安心です。
④令和版 駆け出しクリエイターのためのお金と確定申告Q&A
イラストレーターとしてやっていくにあたり、絶対に欠かせないのが税金のお話です。
本業があるイラストレーターには、会社の給料とは別にイラスト収入がある場合、
確定申告をしなければなりません。
そんな時、クリエイターが税金で払いすぎたお金を取り戻すための
役に立つ知識がこの本には詰まっています。
いままで確定申告をしたことがなくてなにも分からない、という人でも
具体的になにから始めればいいか分かります。
⑤佐藤可士和の打ち合わせ
イラストレーターとして仕事をはじめていくと、意外とコミュニケーションスキルが大事だと気づくはずです。
編集者も人間なので、情があります。当然話がしやすい人のほうが喜ばれるし、
基本的なマナーがきちんとしている人のほうが次の仕事を発注したくなるもの。
たとえば「打ち合わせ」を質的向上可能なある種のテクニックとして見つめ直す視点があれば、
編集者とのコミュニケーションがはかどるかもしれません。
この本はどちらかというと編集者側が読むべき本で、クライアントの能力を引き出すハウツーなのですが、
逆にイラストレーターがこの本を読むことで、編集者が打ち合わせに求めるものを見極め、
より質の高い仕事ができるようになることでしょう。
⑥自然なしぐさイラストポーズ集 自然体のキャラクターがすぐ描ける
ライトノベルの挿絵で大切なことはなんでしょうか?
それは、お芝居です。
挿絵は、一枚のポスターではなく、連続したシーンの一瞬を切り取るシチュエーション描写です。
したがって、なにを描けるか?ではなく、何をしているところを描けるか?が大切になります。
そこでライトノベルの挿絵を描きたいと考えたとき、
しぐさ、日常芝居の表現力を高めると仕事につながりやすくなります。
可愛い女の子、かっこいい男の子を描けるのは大前提で、
彼らに上手なお芝居をつけることで小説のシーンにぴったりの状況を表現してください。
⑦女子中・高生の制服攻略本
ライトノベル黎明から現在にいたるまで、女子高生は中心的なモチーフでした。
それはこれからも変わらないと予想されます。
女子高生を描くためのテクニックや知識を補い、
自信をもって女子高生を描けるようになる。
それがライトノベルのイラストレーターとして活躍するための近道です。
⑧東京
さいごにひとつ、ちょっと変わった本をご紹介します。
これは写真集です。
全ページにわたって東京が写されているのですが、
なんとなんと、無人。世にも珍しい、人間がまったく、まったく、誰一人として写っていない東京の写真です。
しかも心底驚くべきことに、合成写真ではないそうです。
中野正貴さんという写真家がやってのけた偉業の仕事で、
24時間のなかのほんのわずかに、ファインダーのなかに人間が0人になる瞬間を見つけて撮影した
執念と奇想の無人東京写真集です。
人がいるのが当たり前の風景が、なぜか異世界じみた異質さをみせる。
無人のさみしさなのか、静謐な透明感なのか、えもいわれぬ感覚にゾクゾクする本です。
イラストレーターにとっては、貴重な「誰もいない東京」の背景資料として大活躍します。
異質な発想が想像力を刺激して、新しいイラストを生むきっかけになるかもしれませんね。
ライトノベルの挿絵を描きたいなら本を読もう
いかがだったでしょうか。
編集者が実際にふれて、これはイラストレーターに役立ちそうだなと思った本をご紹介しました。
プロの方も、これからプロになりたい方も、面白そうだなと思った本があったらぜひお買い求めください。
知識は芸の肥やしです。
描いて、読んで、営業して、新しい仕事につながってほしい。
素敵なライトノベルイラストレーターが生まれることを願っています。