小説初心者を抜け出して、最初のライトノベルを書くためには、お気に入りの小説を分析するのが良いという話をしました。じっくりと選び抜いたお気に入りの3冊を道標に、研究をはじめましょう。さて、とにもかくにもまずはその3冊を読むことから始まるのですが、読み方にも工夫が必要です。最初は「キャラクター」について注目してみましょう。
初心者向け
その出会いで読者をドキドキさせられるか?ラノベヒロインとの遭遇シーンに関する基礎知識
お気に入りの3冊の分析法その2です。
手本とする3冊を読み進めるにあたり、「主人公とヒロインの出会い方」に注意をむけてみてください。あなたの作品をもっと輝かせるために、どのように主人公とヒロインを出会わせれば良いか、その考え方を解説します。
ヒロインとの出会い方に魂をこめる
優れたライトノベルは、ヒロインとの出会いで読者の心を掴みます。
出会い方はそのライトノベルの名刺代わりとも言え、どう出会ったかで口コミの広がり方にも影響が出るほどです。涼宮ハルヒとの出会い方を思う浮かべてもらえば分かるかと思いますが、強烈なインパクトをともなってヒロインが登場するのがお約束です。ただふつうに出会うのではなく、ドラマチックな出会い方で読者にヒロインを印象づけることを意識してみましょう。
その出会いで読者をドキドキさせられるか?
出会いを印象づける方法は実は単純です。読者をドキドキさせればいいのです。
読者をドキドキさせる出会い方は、おおむねこの3パターンに分類されます。
「脱衣」と出会い
エッチなハプニングとともにヒロインに出会う、うれしはずかしサービスシーンの出会いです。
ラブコメなど、美少女の萌えを売りにする作品との相性が良く、ライトノベルでよく使われる手法です。人は性的な興奮をおぼえると自然と心拍数があがります。したがって、エッチなハプニングとともにヒロインと出会うことで心拍数があがり、ドキドキとしたドラマチックな出会いを演出できるのです。
「危険」と出会い
巻き込まれた危険なバトルのなかで、ヒロインと出会いを果たすパターンです。
バトルが主題となる作品の場合、作品の見どころとヒロインとの出会いを同時に提示できるため構成が引き締まります。バトルの派手さ、ダイナミックな効果の応酬で命を危険にさらし、読者をハラハラドキドキさせることができれば狙いはバッチリといえます。バトルの設定に凝るよりは、ヒロインか主人公のどちらかを徹底的に追いつめ、危機感をあおることで読者の心拍数をあげるほうがてっとりばやく、効果的です。
「予想外」と出会い
身構えていないところに急に解決不能な困難を任されると、人はドキドキするものです。応用できる範囲はひろく、上記2つと組みあわせて使うこともできます。急な依頼、予期せぬ変更、思いがけない誤算、予想外の無理難題、想定外のシチュエーション、ありえない場所。そういったものとヒロインの登場が密接に関わっていれば、読者はドラマチックな出会いを楽しんでくれるでしょう。
すでに出会っているパターンは?
作品の主要人物が、自己紹介をとっくにすませている関係である場合もあります。こうした作品では明確には描写されないものの、過去編をほのめかしたり、回想のなかで断片的に提示するなどして「いかに出会ったか」を読者に知らせる手法がとられます。
その場合、優れたライトノベルほど伏せられた過去編に興味がひかれるように工夫がこらされます。
読者の想像をかきたて、どうやって出会って、どんな経験を経て、いまの二人になったのだろう?と知りたくさせれば大成功です。読者に興味をもたせること、ひいてはそのキャラクターに恋をさせることがライトノベルをうまく書くコツです。
初心者でも出会いをおろそかにしない
お気に入りの3作を、「主人公とヒロインがどうやって出会うか?」に注目しながら読んでいくと、そのシーンだけで十分面白いと感じられるはずです。なんとなく出会わせるのではなく、出会い方にも作者なりの意図をもつ必要があることが分かっていただければ、次の段階に進めるかと思います。
作家人生の第一歩!お気に入りの3冊を決めてみよう
作家になりたい!そう思ったら、まずなにから始めたらいいでしょうか。意外とそんなはじめの一歩につまづいて、せっかくのやる気がしぼんでしまう……なんてことも。でも、ご安心ください。ゼロから小説を書き始めるにあたって、なにをすればいいのか具体的に説明します。それは、好きなライトノベルを3冊選ぶことです。
いきなり書き始められない!
作家になりたければ、小説を書けばいい。 そんな当たり前のことは言われなくても分かっているけど、いざ書き始めようとするとなにから手をつければいいか迷ってしまうものです。そんな、「いきなりは書き始められない!」という慎重な小説初心者の方にむけて、おすすめの方法をご紹介します。
「読むこと」です。
書けないなら、まず読むことから始めましょう。ライトノベルを知るには、ライトノベルを読むがいちばんです。
なにを読めばいいか
書く前に読もう、と言われてもどれを読めばいいか迷うかもしれません。
男性向けライトノベルレーベルだけにしぼっても毎月100~130点ほどの新刊が発売されるライトノベル大乱立時代において、小説執筆のスタートアップにふさわしいものを選ぼうと思ってもよく分からなくなるのは当然のことです。新旧あわせて世の中にあふれるほど存在するライトノベルのなかから、どれを、何冊くらい読めばいいのかなんて分かりませんよね。そこで、無理やりにでも指針を設けてしまいましょう。すなわち、ある条件にそって3冊を選びぬくのです。
小説初心者が手にとるべき最初の3冊
無数にあるライトノベルの中から、小説初心者が最初に選ぶべき3冊はこのような条件にもとづいて探してください。
- 10巻以上続いている人気シリーズの第1巻
- 直近3ヶ月以内に重版がかかった(品切れが起きた)新シリーズの第1巻
- 自分の直感で決めた自由な1冊
この3つの条件を別々に満たす、最強の3冊を選びぬきましょう。もちろん、すでに読んだものの中から選ぶのも大いにありです。
今日までの読書量が多い人ほど、3冊に絞りきれなくて悩むかもしれません。あれもいい、これもよかった、それだって捨てがたい。それでも涙を飲んで3冊にしぼりこむことを強くおすすめします。この3冊は、これからの作家人生を方針付ける大切な3冊です。多くても少なくてもいけません。まずはとにかく3冊です。どうしても決めあぐねてしまうという方は、たとえばこんなライトノベルはどうでしょうか?
10巻以上続いている人気シリーズの第1巻から選ぶ
10巻以上も続いているのは、人気シリーズの証です。たくさんの読者に支持されてこそ、シリーズは巻数を重ねることができます。
デート・ア・ライブ 十香デッドエンド (富士見ファンタジア文庫)
直近3ヶ月以内に重版がかかった新シリーズの第1巻から選ぶ
直近3ヶ月以内に重版がかかった作品は、絞り込みは容易です。毎月30~50タイトルくらい(あるいはもっと!)完全新作が生まれていくなかで、重版の日の目が見られるタイトルはごく限られているからです。2016年10月現在で探すと、たとえばこのような作品が条件にあてはまります。どれも2016年現在、市場で反響があったウケるライトノベルです。作家人生の第一歩に必ず役に立つ作品なので、1冊選んで読んでみましょう。
魔力ゼロの俺には、魔法剣姫最強の学園を支配できない……と思った? (MF文庫J)
自分の直感で決めた自由な1冊から選ぶ
これは例示しても意味がないですね。それでもどうしても決められないという方のために、いくつか考え方のヒントを。
- いちばん心に残っている1冊
- いちばん人にすすめたくなった1冊
- いちばん泣けた1冊
- いちばんマネしやすそうな1冊
- いちばんツッコミどころのある1冊
- いちばんあらすじだけで興味がひかれる1冊
- いちばんなんだか分からないけど気になる1冊
などなど。
どんな本でもいいですが、自分のなかで「いちばん」と呼ぶにふさわしい、とがった特徴のある作品を「最初の3冊」に加えるのがおすすめです。
最初の3冊を選んだら
いかがでしたでしょうか?お気に入りの3冊は決まりましたか?ゼロからはじめて初心者を脱出するのに必要な選択です。納得いくまで選びましょう。うまく決定できましたら、続いてその3冊をどのように執筆に活かすか、具体的に解説します。